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プロスタグラジンD合成酵素の構造解析

我々は、睡眠調節に関与するリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)とアレルギーや炎症反応に関与する造血器型プロスタグランジンD合成酵素(H-PGDS)の3次元構造の決定を進めている。

これら2つのPGD₂合成酵素の結晶化に成功した。結晶を用いたX線結晶構造解析、また核磁気共鳴分光(NMR)法による L-PGDS の溶液構造解析も行っている。これらの3次元構造座標情報は、PGD合成酵素の触媒反応機構の理解に有効であり、さらにそれぞれの酵素を標的とする選択的かつ強力なドラッグデザインを可能にし、新薬の開発に結びつくことが期待される。

プロスタグランジンD₂(PGD₂)は多彩な生命現象に関与しており、中枢神経系では睡眠の調節を行い、また末梢組織ではアレルギーや炎症のメディエーターとして機能する。PGD₂を産生する酵素として、中枢神経系、心臓や生殖器に多く局在するL-PGDSと肥満細胞、Thリンパ球や皮膚のランゲルハンス細胞において発現するH- PGDSの2種類が存在する。我々は、L-PGDSが脂肪細胞に、H-PGDSが筋ジストロフィーの壊死筋にも多く発現していることを見出した。

1) 蛋白質の構造解析

L-PGDS は、8つのβシートと3つのαヘリックスから成る「かご」のような形をしている。

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H-PGDSは2量体の中央にCa²⁺あるいはMg²⁺イオンの結合部位を持つ。

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我々は経口投与で有効な造血器型PGD合成酵素(H-PGDS)阻害物質 HQL-79 を見出した。さらにその阻害物質と H-PGDS の共結晶化にも成功した(Aritake, K. et al., J.Biol. Chem, 2006)。

一方、経口投与で有効なリポカリン型PGD合成酵素 (L-PGDS) 阻害物質 AT-56 も見出し、AT-56と L-PGDS の結合の様子を NMR を用いて解析した(Irikura, D. et al., J.Biol. Chem, 2009)。これら3次元立体構造座標を基に、より選択的かつ強力な阻害薬の分子設計が可能となった。

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2) 宇宙実験への参加

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我々は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究を行い、ロシアのサービスモジュールを用いて宇宙環境を利用した高品質タンパク質結晶生成を行っている。2007年8月、ロシアの無人輸送船「プログレス」が我々の蛋白質試料を搭載し、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から国際宇宙ステーションに向けて出発した。国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」を利用した、高品位な結晶成長実験を行い、同年10月、宇宙実験を終えた試料は、蛋白質結晶生成実験装置を乗せたソユーズ宇宙船によって回収された。現在、宇宙実験によって得られたPGD合成酵素の高品質の結晶を用いて、大型放射光施設(SPring-8)利用したX線結晶回折実験により、高分解能の立体構造を決定して理論的な薬の設計を目指した研究を行っている。

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